2026-7-30加筆修正
この記事では、7〜12歳の児童が練習を少しずつ習慣にし、自分で音楽を学べるようになるための考え方をご紹介します。4〜6歳のレッスン内容や、お家練習の進め方については、関連記事をご覧ください。
小学生になると、レッスン内容が少しずつ本格的になります。
弾く曲が長くなり、両手での演奏や、部分練習、リズム練習、表現の工夫も増えていきます。
その一方で、
- 自分から練習を始めない
- 声をかけないと楽器へ向かわない
- 好きな曲は弾くけれど、宿題は後回しにする
という悩みも増える時期です。
小学生になったからといって、すぐに一人で練習を計画し、毎日続けられるようになるわけではありません。
低学年では、保護者と一緒に始める仕組みが必要なことがあります。
高学年になると、自分で練習内容を考えられるようになる一方で、学校、宿題、部活動、友人関係などが広がり、時間の調整が難しくなることもあります。

練習習慣は意欲だけでは作れません
練習を続けるには本人のやる気が必要ですが、毎日同じようにやる気が出る人は、大人でもほとんどいません。
練習を習慣にするには、
- いつ行うか
- どこで行うか
- 何から始めるか
- どこまで行えば終わりか
が分かる仕組みが必要です。
「時間があったら練習する」では、ほかの遊びや用事が先に入りやすくなります。
反対に、
「学校から帰って休憩したあと」
「夕食の前」
「宿題が終わったあと」
など、生活の中に練習の置き場所があると、始める判断を毎回行わずに済みます。
大切なのは、厳密な時刻を守ることではありません。
その家庭で繰り返しやすい流れを作ることです。
低学年と高学年では、支え方が変わります
7歳と12歳では、身体の大きさだけでなく、時間の感覚、課題の理解、計画する力も異なります。
低学年
低学年では、
- 宿題の内容を思い出す
- 楽譜や道具を用意する
- 練習を始める
- 一つの課題を終える
- 次の課題へ移る
という流れを、一人ではまだ管理しにくいことがあります。
保護者が、
「今日は何をするんだっけ」
と一緒に確認したり、
「まず右手を一回弾こう」
と最初の行動を具体的にしたりすることで、始めやすくなります。
中学年
中学年では、自分でできる部分が増えます。
一方で、簡単な曲はすぐ弾けても、少し難しい曲になると、どのように練習すればよいか分からないことがあります。
この時期には、
- 難しい場所を見つける
- 曲を小さく分ける
- 何回行うか決める
- 弾いたあとに変化を確かめる
という練習方法を学びます。
高学年
高学年になると、自分で目標を立て、練習方法を選ぶ経験を増やします。
ただし、学習量や学校行事も増えるため、毎日同じ時間を確保することが難しくなる場合があります。
そのため、
- 時間がある日の練習
- 忙しい日の短い練習
- レッスン前に確認する内容
を分けて考えます。
自立とは、毎日一人で完璧に練習することではありません。
自分の時間と課題を見て、
「今日はここまでならできる」
と判断できることも、自立の一部です。

練習をしないとき、まず先にするのは
理由を分けて考える
子どもが練習しないとき、すぐに「やる気がない」と判断しないようにします。
練習へ向かわない理由には、さまざまなものがあります。
- 疲れている
- 眠い
- 学校の宿題が多い
- ほかに続けたい遊びがある
- 宿題のやり方を忘れた
- すぐ弾ける曲には見えない
- 課題が多く見える
- 繰り返し練習が面倒くさい
- 間違いを指摘されるのが嫌
- 弾けない自分を見られたくない
- 一人でやりたい
- 一人では始められない
理由が違えば、必要な支援も違います。
疲れている子どもに「頑張ろう」と言っても、疲労は無くなりません。
課題が多いと感じている子どもに「毎日続けよう」と言ったら、気が重くなる一方です。
まず、
「今日は学校で疲れちゃった?」
「やりたくない宿題があったの?」
「一人でやる?一緒にやる?」
と、原因を探します。
すぐに答えが出ないこともあります。
その場合は、子供が自分の言葉で話せるまで、いったん待ちます。
目標を小さくする
宿題が複数出ている場合、毎日すべての宿題に取り組むことが、難しいケースもあります。
そんな日は、課題を小さく分けてあげると始めやすくなります。
たとえば、
- 右手だけ弾く
- 一段目だけ弾く
- 難しい二小節だけ練習する
- リズムを三回たたく
- 最初の音を全部探す
- 一回だけゆっくり弾く
とします。
一つ終わったら、
「次の宿題もやる」
「今日はここで終わる」
を子どもに選ばせます。
最初から長時間の練習を目標にするより、短くても自分で始めて終えた経験を重ねることが大切です。
「何分」より「何をするか」
練習時間の長さだけでは、練習の内容は分かりません。
30分楽器の前にいても、同じところを考えずに繰り返している場合があります。
反対に、5分でも、
- 難しい場所を見つける
- ゆっくり弾く
- 指使いを確認する
- 音の変化を聞く
ことができれば、意味のある練習になります。
家庭では、
「今日は何分弾いた?」
だけでなく、
「今日は何を練習したの?」
と聞いてみてください。
子どもが答えられない場合は、練習の目的が本人に伝わっていない可能性があります。
レッスン当日に短く確認する
レッスンで新しく学んだことは、時間がたつと忘れやすくなります。
教室が生徒たちに可能であれば、レッスンを受けた日のうちに、宿題を一度確認します。
すべてを練習する必要はありません。
- 楽譜を開く
- 先生が書いた印を見る
- 最初の音を確認する
- 難しかった場所を一度弾く
- 宿題の順番を確かめる
だけでも構いません。
その日のうちに確認すると、
「何をする宿題だったか分からない」
という状態を減らせます。
練習する場所を整える
練習を始めるたびに、楽譜を探したり、楽器の上を片付ける必要がある状態では、始めるまでの負担が増えてしまいます。
まず使える道具4つを準備しましょう。
- すぐ弾ける状態の楽器
- すぐ開ける状態の楽譜
- 高さを合わせた足台や補助ペダル
- レッスンで指示された高さの椅子
テレビや動画の音が聞こえる場合は、練習中だけ音を小さくするなど、注意を向けやすい環境を作ります。
完璧な静けさを求める必要はありません。
子どもが自分の音を聞ける状態が基準です。
練習内容を見える形にする
宿題が複数あると、子どもには「たくさんある」と見えることがあります。
その場合は、やることを短く書き出します。
例:
- リズムをたたく
- 右手を一回弾く
- 左手を一回弾く
- 好きな曲を弾く
終わった項目へ印を付けます。
低学年では、文字だけでなく、色、付箋、絵、記号を使ってもよいでしょう。
高学年では、自分で練習項目を書き、終わったものや次回へ回すものを決めます。
練習内容を見える形にする目的は、監視することではありません。
子ども自身が、
「何が終わって、何が残っているか」
を把握するためです。

量と質を緩める日があってもいい
毎日同じ量でなくてもよい
学校生活には、忙しい日と余裕のある日があります。
毎日まったく同じ時間、同じ量を求めると、続けられなかった日にすべて崩れたように感じやすくなります。
そこで、練習を三段階ほどに分けます。
時間がある日
1から順に練習を進めます。( )は高学年の練習メニューです。
- 部分練習
- 繋ぎ練習(アンカー練習)
- しあげ練習
- (応用練習)
- 好きな曲
普通の日
- メインの宿題を1つ
- 難しい場所の確認練習
- 好きな曲を1回
忙しい日
- 楽譜を開いて見る、歌う(低学年)
- 一か所だけ弾く
- リズムの確認だけをする
- 曲(伴奏・範奏音源)を聞く
できそうなものに取り組んで、量は無理のないよう生活に合わせます。
忙しい日は、小さな練習をすることで、習慣を保ち続けることができます。
好きな曲から始めても構いません
宿題よりも、知っている曲や好きな曲ばかり弾くことがあります。
好きな曲を弾くことは、練習から逃げているとは限りません。
楽器へ向かうきっかけになることもあります。
- 好きな曲を一回弾いてから宿題へ進む。
- 宿題のあとに好きな曲を弾く。
- 好きな曲の中から、練習方法を見つける。
その日の状態に合わせて使えます。
もし、楽譜が無い曲を弾こうと音を探したり、音を組み合わせて遊び弾きをしていたら、たくさん褒めてあげてください。
教室でもお勧めしている音楽遊びです。
面白い音や曲ができたら、レッスンで聞かせてくださいね。
通すだけが練習ではありません
子どもは、曲の最初から最後まで弾くことを「練習」だと思いやすいものです。
しかし、まだ弾けない場所がある段階で通す練習に入ると、同じところで何度も止まります。
「練習しているのに弾けない」と言う状態です。
こんなときレッスンでは、
弾けない原因を見つけ、解決のために必要な練習方法を提案し、一緒に取り組みます。
- 片手ずつ弾く
- 1〜2小節だけ繰り返す(部分練習)
- リズムだけ練習する
- ゆっくり弾く
- 途中から弾き始める
- 難しい部分の前から弾く
- アンカーを決めて練習をする
などの練習です。
もし。ご家庭で曲の断片ばかり聞こえたら、それは曲を丁寧に組み立てて練習している証拠です。
最初から最後まで通す練習は、ある程度準備ができてから行います。

家族からの言葉がけと関わり方
子供の間違いに、答えを教えない
子供が音や指使いを間違えて弾いているとき、つい、教えたくなるものです。
しかし、横から答えを教えると、子どもは自分で楽譜を見たり、音を聞いたりして考えるより前に、保護者の反応を待つようになります。
間違いに気づいたときは、
「今弾いてた音、なんだか変な感じがしたよ」
「(楽譜の)どこだったか、見てみる?」
「先生のヒントは、なんて書いてあったの?」
と、自分で確認できる方向へ戻します。
分からないままなら、自分で印を付けてレッスンに持ってくるように指導しています。
教室は、宿題を完璧に完成させてから来る場所ではありません。
分からなかったことや、うまくできなかったことも、先生と一緒に考え、取り組む場所です。
どんなふうに褒めればいい?
「上手」
「すごい」
「間違えなかったね」
だけでなく、子どもが行ったことを具体的に伝えます。
- 自分で楽譜を開けられたね(低学年)
- 難しい場所を自分で練習できたね
- ゆっくり、丁寧に練習してたね
- 音を聞いて間違いが分かったんだね
- 途中でやめないで終わりまで弾いてたね
- 分からない場所に自分で印を付けたんだね
- 自分で練習の順番を決められたんだね
具体的な言葉は、子どもが、
「〇〇をしたから、こう変化した」
を理解する手がかりになります。
ただ褒めるのではなく、「これをしたらこうなった」を本人が見つけられる言葉がけをし、
「自分で見つけた、自分で気づいた」
を褒めます。
子供の意識を具体的な行動や取り組みへ向ける方が、学習をより支えやすくなります。
保護者の感想も伝える
練習を評価する言葉よりも、演奏を聞いた人として感じたことを伝えてあげてください。
- そこの音、きれい、大好き
- この曲を聞くと元気になる
- ここの流れが優しくて素敵
- 最後のところをもう一度聞きたい
音楽は、正しく弾けたかどうかだけで決まるものではありません。
自分の演奏が誰かに届いた経験は、強く思い出に残るものです。
そして、それが音楽を続ける理由にもなります。
家族は指導者にならない
家族が応援してくれることは、大きな支えになります。
ですが、
「そこが違う」
「もっと練習した方がいい」
「昨日より下手になった」
と、批判や評価、指導と感じる言葉をかけられると、楽器の前に座ることが辛くなります。
子どもにとって、楽器の前は「評価される場所」にならないようにしましょう。
ご家族におすすめしたいのは、
- 演奏をゆっくり聞く
- ポジティブな感想を伝える
- ときどき小さな発表会をする
- 好きな音楽を一緒に聞く
- 子どもが作った曲を聞く
など、音楽を共有する役割です。
弾き方や宿題の判断は、教室へお任せください。
親子で音楽を楽しめる環境作りと、保護者からの言葉がけ、支援は、子どもの音楽学習への関わりや意欲と関連することが報告されています。
ただし、たくさんやれば必ず成果が上がるわけではありません。
子どもの年齢や意思、性格などに応じて、関わり方や頻度を調整する必要があります。
練習記録を監視表にしない
教室では、子供の状態によって、あるいは発表会前などに「練習の記録」を活用しています。
1ヶ月カレンダーに、自分で目標を描き、自分で自己評価を書きます。
日々、練習した日に色を塗ったり、シールを貼ったり、好きな印を描く、イラストを染める、など、使い方も子供が決めます。
これは継続を見える形にするために役立ちます。
ただし、
「空白があるから駄目」
「毎日埋めなければならない」
という評価表にしてしまうと、楽しみがなくなってしまいます。
記録を見るときには、
「今週はこの日にできたね」
「忙しい日は短くしたんだね」
「ここから三日続いたね」
と、生活と練習の関係を振り返ります。
記録の目的は、練習の管理をすることではなく、子供が自分に合う続け方を見つけることです。
練習不足の時ほどレッスンが大事!
「練習できなかったので休みます」は大間違い。
ほとんど練習できなかったなら尚更、レッスンを利用してください。
まずは、前回取り組んだ内容を一緒に思い出しましょう。
その上で、原因と解決方法を見つけます。
- 弾くことが難しかった理由は何か
- 練習時間が取れなかった原因は何か
- 課題を小さく分けたらどうだろう?
- 練習方法を変えたらどうだろう?
- どうやったら練習時間が作れるかな?
「できなかった」で終わるのではなく、
「なぜか、どうすればいいか」
を一緒に考えることで、練習の自立にも繋がります。

自分で練習する力を育てる
小学生の時期は、保護者と一緒に取り組む状態から、自分で練習を管理する状態へ移っていく途中です。
その変化は、ある日突然起こるものではありません。
第一段階
保護者と一緒に宿題を確認する。
第二段階
子どもが行い、保護者は始めるきっかけだけを作る。
第三段階
子どもが練習内容を決め、終わったあとに保護者へ話す。
自立へ
子ども自身が、
- 問題を見つける
- 練習方法を選ぶ
- 結果を聞く
- 必要なら方法を変える
ようになります。
保護者が手を離す時期は、年齢だけでは決まりません。
子どもの理解、性格、曲の難しさ、生活の状況を見ながら、支援を少しずつ減らします。
教室が目指しているのは、先生や保護者に言われたことだけを行う生徒ではありません。
自分で楽譜を読み、自分の音を聞き、必要な練習を考えられる人を育てることです。
習慣の先にあるもの
練習を習慣にすることは、毎日欠かさず、一定時間弾くことだけではありません。
- 忙しい日は内容を減らす
- 分からない場所を見つけて印をつける
- 短い時間でも楽器へ向かう
- できなかった理由を考える
- 必要なときに助けを求める
- 自分の音を聞いて方法を変える
こうした判断ができるようになることも、練習習慣の一部です。
低学年では、大人と一緒に始める。
中学年では、練習方法を覚える。
高学年では、自分の生活と課題に合わせて組み立てる。
少しずつ関わり方を変えながら、自分で音楽を学ぶ力へつなげていきます。
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レッスン科目、料金、予約方法については、レッスン案内をご覧ください。
参考資料
- 子どもや青少年が音楽学習を継続する動機と、中断傾向を調べた研究です。家族との音楽的な関わりや保護者の支援が、動機づけと関連することを扱っています。Wieser, M.ほか「Who stays? Who goes? Motivation and tendency to drop out in music schools」
- 教育場面での褒め方について、声かけを具体的な取り組みや成果に向けること、過剰または曖昧な褒め方を避けること、などを解説しています。American Psychological Association「Using praise to enhance student resilience and learning outcomes」
この記事について
この記事は、南福島ミュージックルームでの児童指導経験と、子どもの音楽学習、練習の自己調整、保護者の関わりに関する研究をもとに執筆しています。
子どもの発達、性格、生活環境、練習への反応には個人差があります。記事内の方法が、すべての子どもに同じ結果をもたらすことを保証するものではありません。





