「人は1日経つと66%忘れる」という、エビングハウスの忘却曲線の話。これまで何の疑問も感じず「へ〜そうなんだぁ」だったのが、ふと「その割に覚えてることあるぞ?」と気になって調べ始めたら、勘違い有り、知らなかったこと多々あり。何だか面白かったので、少し書いてみます。

エビングハウスの忘却曲線と誤解
私は「人は学習したことを、どのくらいの時間が経ったら、どのくらい忘れるのか?」だと思っていました。既にここから違いました(笑)
忘れる量や時間ではなく「一度学習した内容を再び学習する際に、どれだけ時間を節約できたか」だったのです。
エビングハウスが実験を行ったのは1879~1880年ごろ。論文は日本語版でも存在するのですが、かなり昔のもので入手が難しくなっています。
ですがありがたいことに、論文を読んだ方が記事を書いていらっしゃいます。
「1日で66%忘れる」は本当か?「エビングハウスの忘却曲線」の論文『記憶について』を読んでみた
それによると、「人は1日経つと66%忘れる」と言うのは、エビングハウスが行った実験に限った話で、実験の被験者もエビングハウス1人ですし、他者にも当てはまるとは結論付けていません。
さらに「忘却曲線」も登場しません。
実験は、一度学習したことを再度学習するとき、何時間後に再学習すると、どれだけ短時間で記憶できるのか?と言うもので、どれだけ忘れるか?ではなかったのです。
実験から数値化もして、計算式もあるのですが、それによると人は学習した事を100年でも覚えていると言うことになります。

実験方法
エビングハウスは、意味のない文字の組み合わせを使って実験を行いました。
- 最初に一番最初に綴りを暗記する
- 一定時間経過後(20分後、1時間後、1日後など)にまた同じ内容を学ぶ
- 再学習行った時間記録し、節約率を計算する
実験結果と解釈
エビングハウスの実験結果は以下のようでした。
- 20分後の節約率:58%
- 1時間後の節約率:44%
- 1日後の節約率:26%
- 1週間後の節約率:23%
- 1ヶ月後の節約率:21%
これは、時間が経過するほど、再学習の効率が低いことを示しています 。
学習への応用
この知見を活かして、効果的な学習方法をあげるなら、
- 学習直後は復習する:新しく学んだ内容は少し早く復習する
- 定期的に復習する:時間を空けて複数回復習する
- アクティブラーニング:先行するだけでなく、問題を解いて説明する
「な〜んだ、そんなこと」な結論ですね。
エビングハウスの時代でも言われていた「おさらいしなさーい」は、エビングハウスの実験結果でも「おさらいしなさーい」で、今もおさらいは最強、という(笑)
やっぱりね〜な結論ではありましたが、エビングハウスや実験について、勘違いに気づいたり、知らなかった事が次々に出てきたり、久々にワクワクして楽しめました。