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(加筆 9/15、10/4、10/23)
ピアノやエレクトーンのオンラインレッスンを初めて受ける方向けの記事です。
レッスンを受けるお部屋のネット環境や、使いたいデバイス、Wi-Fiの有無やご予算など、環境やご事情はお一人お一人違うと思います。
ご自分の場合はどんな準備が必要になるのか、どんな手順が合うかを予め分かっていると、スムーズに準備を進めることができると思います。宜しければ参考になさってくださいね。
[最優先するのは]通信が安定する環境
オンラインレッスンで最も大事なのは、機材よりも、部屋の片付けよりも、安定した通信状態です。安定した通信!(大事なことなので二度)
よくテレビ番組などで出演者がリモートで出ている時に、音が途切れたり、無音が続いたり、水の中で喋っているような、ゴボゴボした聞きにくい音質になることがありますよね。すごい機材とプロの技術者がバッチリ揃っているテレビ局でも、通信状態が不安定になればそうなる、ということです。
オンラインレッスンは、お互いに映像と音を送ったり受け取ったりするので、普段の使い方よりも通信量が多くなります。状態が不安定になると、演奏を聴いている最中に音切れが続いたり、無音が続いてレッスンが中断してしまったりします。
今のうちにネット環境をチェックしておきましょう。そして、Wi-Fi(無線)にするか有線接続にするかを選んでおくと、準備の手順も決めやすくなると思います。
通信量を抑えるならWi-Fi(無線)をお勧めしますし、より安定した通信を望む方には有線LANをお勧めします。詳しくはこの続きをどうぞ。
(9/15加筆)生徒さんからスマホの場合についてご質問を頂いたので加筆します。スマホは、LTEや4Gという携帯電話用の通信回線を使ってインターネットにつながります。その使用量に応じて通信料がかかります。使い過ぎると利用制限がかかったりしますよね。Wi-FiはLTEや4Gを使わないので、通信量を抑えることができ、利用制限もありません。ただし、セキュリティーのリスクは有線より無線の方が高くなります。
[Wi-Fiを使う場合]時間帯を変えて通信速度を計測しておく
Wi-Fiだと通信量を抑えることができます。通信速度が十分なこと、デバイスの状態が悪くないこと、相性の良いアプリを選ぶことが必要です。
通信速度を確認する
レッスンを受ける楽器のそばで、動画やライブ配信を視聴できるか確認してください。サクサク見られるのであれば、安定していると言えます。もし途切れたり止まったりするようなら、オンラインレッスンでも同様のことが起こりやすいと思います。
通信速度はスマホのアプリでも計測できます。通信が混み合うと速度が落ちるので、レッスンを予定している時間帯に、何度か計測してみることをお勧めします。アプリにはばらつきがあるので、2種類のアプリで計測して、ざっくり平均を出してみるのも良いと思います。
だいたい15Mbpsあれば大丈夫と言われていますが、実際にレッスンしていると15Mbpsは不安を感じる数値です。教室は光回線ですが、無線の速度を午前中、午後、夕方、深夜に測ると、下り(ダウンロード)は60前後〜80Mbps程度、上り(アップロード)は70前後〜90Mbps程度。上りがお昼前に62Mbpsまで落ちた日もありました。
通信速度は、こんな風に変化するものなので、時間帯を変えたり、場所を変えたりしながら計測してみることをお勧めします。
(10/4加筆)Wi-Fiルーターを新しい規格のものに変えて、混み合うと思われる日曜日に計測してみました。どちらも10月4日(日)18時に教室で計測した結果です。まぁまぁ改善していますね。


改善策は手軽にできる方法から
一般的でお手軽なのは、部屋に中継機を置くことです。家電店でも手に入ります。
ホームゲートウェイ、無線ルーターとの距離を気にされる方もいらっしゃいますが、この辺りはややこしくて距離だけの問題でもないのです。ただ、遮蔽物は影響します。でも間取りは変えられないし、家具や楽器を動かすのは大変ですよね。となると中継機をおくのが一番手軽な方法だと思います。
ルーターの規格が古い場合は、新しい規格のものに交換する、という方法もあります。ルーターの後ろにアルミ箔のついたてを置く、電子レンジから遠ざける、レッスン中は電子レンジを使わない、という小技もあります。
*アルミ箔の方法を実験してみたところ、アルミ箔の高さや角度を変えるだけで計測値が変わりました。しかし隣の部屋や真上の部屋ではほとんど変化なし。家のあちこちで同時にネットを使う我が家には向きませんが、ワンルームの方は使いようかもしれません。
[有線接続をする場合]オンラインレッスン向きです
演奏アプリには、光回線などブロードバンド環境と有線接続が推奨されているものがあります。ZOOMなどの会議用アプリであっても、通信が安定するのは有線接続です。通信量が抑えられるのはWi-Fi(無線)ですが、オンラインレッスン向きなのは有線です。
使える条件は、使いたいデバイスにLANケーブルを挿せること。LANケーブルは家電店で購入できます。1m入り、3m入りなど、長さ別に包装されていることが多いので、予め必要な長さを測っておくと良いでしょう。
[使うものを決める]お手軽編から教室編までご紹介
楽器のレッスンですから音は良いに越したことはありません。生徒さんが先生に送る音も、先生が生徒さんに送る音も、両方ともです。対面レッスンに限りなく近い状態がベストですが、残念ながらこれは無理です。
ベストは無理でもレッスンはできます。その方法を3パターンご紹介します。
お手軽編
- マイク、カメラ、スピーカー内蔵のデバイス1台(スマホ、タブレット、パソコン)
- Wi-Fi
- アプリ(LINEビデオ通話、ZOOM)iPhoneもAndroidも使えます。
- イヤホンかヘッドフォン(できれば)
- メトロノーム(ピアノの場合)
イヤホンを使うと先生の音が聞きやすくなります。小さなお子様は内蔵スピーカーで聞いてください。アプリは使いやすく通信量が控えめのものを選びます。音の遅延があるのでメトロノームは必須です。
ちょい足し編
- マイク、カメラ内蔵のタブレット、スマホ、パソコンから2台
- 有線LAN(できれば)
- 無料アプリ(ZOOM)
- イヤホンかヘッドホン
- メトロノーム
譜面台にタブレット、鍵盤の脇かご自分の脇にもう1台を置くと、お互いに見やすくなります。1人で2画面表示できるアプリを使います。有線LANはWi-Fiよりも安定するのでお勧めします。
がっつり編
- パソコン(内蔵マイクとスピーカーは使いません)
- 有線LAN、光回線*
- アプリ(ZOOM、SYNCROOM*)
- オーディオインターフェース
- 会話用のマイク
- ヘッドホン
- [ピアノ]ピアノ用のマイク(必要ならケーブルやスタンドも)
- [エレクトーン]ケーブル2本(エレクトーン側はフォン)
- WEBカメラ(できれば)
ほとんど教室と変わらない環境になります。演奏アプリSYNCROOMを使う場合は光回線が必要です。会話用のマイクはダイナミックマイク、ピアノ用は楽器用コンデンサーマイク。外付けマイクを使うとエアコンの音も拾うほど集音するので、周囲の環境音が入らないように、単一指向性のタイプをお勧めします。

教室編
画像は、ピアノとエレクトーン両方をセッティングしています。使うものの大きさや高さ、置き場所などの参考にしてください。パソコンの隣りにチラッと見える白い機材がオーディオインターフェースです。

- パソコン(メイン機。内蔵カメラで上半身を映す)
- タブレット(画面共有で使います)
- 有線LAN、光回線
- アプリ(ZOOM、演奏アプリSYNCROOM)
- オーディオインターフェース
- [ピアノ側]楽器用コンデンサーマイク、ケーブル、マイクスタンド
- [エレクトーン側]フォン×フォンのケーブル2本
- [会話用]ダイナミックマイク、ケーブル、マイクスタンド*エレクトーンのmicにケーブルをつなぎます。
- モニターヘッドホン
- 小型のWEBカメラ(手元やペダルをアップで映す)
- カメラ用のアームと三脚
- ペダルを照らすライト
*太字はオーディオインターフェースにつなぐもの。
[アプリを選ぶ]先生と一緒に選びましょう。
ビデオ電話のように使えるアプリであればレッスン可能です。会議や通話用、演奏用、ゲーム用、いろいろなアプリがあります。
よく「1拍遅れて聞こえる」とか「サン、ハイで同時に弾けない」と言われる音の遅延。指導者は、遅れる分を飲み込んで指示(サン、ハイ)を出すので、同時は無理でもレッスンは可能です。
しかし演奏表現までレッスンするのは難しいと感じています。音質が酷かったり通信が不安定だったりすると、レッスンにならないこともあります。

LINEビデオ通話やSkypeはよく使われています。FaceTimeはiPhoneなどApple同士でなければ使えません。Discordはゲームチャット用でしたが、今はセミナーなどでも使われていて無料版もあります。
ZOOM(ZOOM Cloud Meetings)は、よく使われている会議用のアプリです。先生側の設定によっては画面共有や録画ができるので、1人で2画面出すこともでき、レッスンでも全国的によく使われています。ホスト(先生)側のWeb設定画面でセキュリティーをガチガチに厳しくすることもできますが、そのせいで生徒さんの使い勝手が悪くならないよう、セキュリティーとのバランスを考えて使用しています。
オンライン演奏アプリSYNCROOM(シンクルーム)
シンクルーム はヤマハが2020年6月にリリースした無料の演奏用アプリです。
音の遅延が非常に少なく、他の人と一緒に演奏することができます。MacとWindowsのパソコンに対応しています。光回線などブロードバンド環境と有線接続が必要で、 Windowsは ASIO 対応のオーディオインターフェースを利用することが推奨されています。
スマホの場合、Androidはサポートなしのベータ版がありますが、iPhoneは対応していません。(2020-8月現在)